ケイスケの音響学

言語聴覚士に必要な音響学の解説をします。

2023-01-01から1年間の記事一覧

音響学の基礎163 音の正体

音の正体 今回は音について詳しく書こう。 音波というくらいだから波の一種であることはわかるが、 何で音が波なのかわからない人が多い。 まず、音というのは音源が発した空気の振動だ。 その空気の振動は人間の耳を振動させ、 人間が感知し音と認識する。 …

音響学の基礎162 計算練習③

計算練習③ 今日も計算練習をしよう。 慣れたら単位換算表を見ないで解こう。 音響学で頻出の単位換算は、 音圧の他に波長や周期の計算がある。 例えば、周期の単位にミリ秒が出てくる。 ミリ秒という表記を見たことがない人が殆どだろう。 でも、単位換算表…

音響学の基礎161 計算練習②

計算練習② 今回は小数の計算練習。 数値を求める計算では分数の解答はほぼない。 分数は計算して小数に直すのが一般的だ。 ということで、今回は小数の計算をしよう。 小数の計算は小学校の算数で勉強して以来、 ほとんど出番がないから忘れている人が多いか…

音響学の基礎160 計算練習①

計算練習① 前回までが音響学の国家試験過去問のヒント。 今回からは数学分野に戻って計算練習をしよう。 難易度は一気に低くなるので、肩の力を抜いて挑戦しよう。 計算するときは必ず自分の手で紙と鉛筆で解くこと。 頭の中で計算して間違うより、手を動か…

音響学の基礎159 過去問㊽

過去問㊽ 今回は声道に含まれない部分を選ぶ問題。 復習範囲は投稿140。 肺から出された空気(呼気)は、 気管→喉頭→口腔を通って唇から声として発せられる。 肺からの呼気の通路を気道と呼び、 気道のうち喉頭よりも上側の、咽頭、口腔、鼻腔を合わせて声道…

音響学の基礎158 過去問㊼

過去問㊼ 今回は20μPaの純音を線形増幅器で20dB増幅したときの音圧レベルを計算する問題。 音圧→音圧レベルの計算の復習範囲は、投稿81~投稿83。 音圧を音圧レベルに変換して20dB増幅すれば終わり。 なんだけど、今回は20μPaという数値が与えられている。 2…

音響学の基礎157 過去問㊻

過去問㊻ 今回は1000Hz、20mPaの純音を20dB増幅した音圧レベルを計算する問題。 音圧→音圧レベルの計算の復習範囲は、投稿81~投稿83。 必要な数値は音圧の20mPaと増幅分の20dBだけ。 まず、20mPaを音圧レベルに変換しよう。 dBSPL=20log(P/P0) に必要な数値…

音響学の基礎156 過去問㊺

過去問㊺ 今回は45dB増幅して25dB減衰させると0dBSPLになる音の音圧を計算する問題。 音圧レベル→音圧の変換の復習範囲は、投稿92~投稿96。 45dB増幅して25dB減衰させたら0dBSPLになる元の音の音圧レベルを求めよう。 元の音圧レベルをXdBSPLとおくと、 X+4…

音響学の基礎155 過去問㊹

過去問㊹ 今回は音圧レベル40dBの音を80dBで出力する補聴器の増幅倍率を求める問題。 音圧レベル→音圧の変換の復習範囲は、投稿92~投稿96。 まずは、(出力)-(入力)で増幅幅を計算する。 80-40=40dB 増幅(利得)が40dB分だ。 でも、今聞かれているのは…

音響学の基礎154 過去問㊸

過去問㊸ 今回から5回連続で線形増幅の計算問題。 今回は音圧レベルが60dBの複合音を線形増幅器で20dB増幅した音圧を計算する。 大前提として、 音圧レベルの単位はdBSPLで、音圧の単位はPaだから、 直接計算することはできない。 dBならdB、PaならPaで単位…

音響学の基礎153 過去問㊷

過去問㊷ 今回は線形システムについて誤っているものを選ぶ問題。 線形システムは線形増幅と考えて問題を解こう。 ①入力信号の大きさを10倍にすると出力も10倍になる。 増幅前の音を10倍にすると増幅後の音も10倍になる。 ②入力信号の大きさが0であ…

音響学の基礎152 過去問㊶

過去問㊶ 今回は線形フィルタの特性を選ぶ問題。 線形フィルタを線形システムや線形増幅器と考えて消去法で解くのが近道だ。 ①入力音が小さいと利得が増大するのは非線形増幅。 ②線形増幅では純音を入力すると純音が出力される。 ③線形増幅では周波数特性は…

音響学の基礎151 過去問㊵

過去問㊵ 今回は線形増幅の補聴器に純音を入力したときに正しいものを選ぶ問題。 線形増幅(リニア増幅):増幅が音の大きさによらず一定である。 小さい音を大きく、大きい音はさらに大きくする増幅方法。 非線形増幅(ノンリニア増幅):増幅が音の強さに…

音響学の基礎150 過去問㊴

過去問㊴ 今回はアンチホルマント(アンチフォルマント)と無関係な音波の性質を探す問題。 まずは単語の整理から。 ホルマント:音声の周波数スペクトルに現れる、周囲よりも強度が大きい周波数帯域。 音声のスペクトルには、 エネルギーが集中して分布して…

音響学の基礎149 過去問㊳

過去問㊳ 今回はホルマント(フォルマント)と無関係な音波の性質を選ぶ問題。 今回は単語を一つずつ整理していこう。 ホルマント:音声の周波数スペクトルに現れる、周囲よりも強度が大きい周波数帯域。 音声のスペクトルには、 エネルギーが集中して分布し…

音響学の基礎148 過去問㊲

過去問㊲ 今回は、成人の標準人体模型による裸耳利得が ピークを示す周波数に最も近いものを選ぶ問題。 裸耳利得(オープンイヤーゲイン): 耳の穴から鼓膜に至る外耳道には、 共鳴により特定の周波数の音を増幅する作用がある。 音が鼓膜に届くまでにどれ…

音響学の基礎147 過去問㊱

過去問㊱ 今回は音響管と外耳道と声道との類似性の記述で誤っているものを選ぶ問題。 外耳道は外耳孔(耳の穴)から鼓膜までの部分を指す。 外耳孔を開放端、鼓膜を閉端とする閉管モデルで近似できる。 外耳道は長さが約3cm。 今、閉管の長さを2.5cmとすると…

音響学の基礎146 過去問㉟

過去問㉟ 今回は音響管内の音波の伝播で誤っているものを選ぶ問題。 音波は縦波なので、音響管内では縦波が伝播する。 開放端は振動(粒子速度)の腹=音圧の節になる。 波の伝わる速さは温度に依存し、 周波数には依存しない。 発展(音響学では必要ない知…

音響学の基礎145 過去問㉞

過去問㉞ 今回は音響管内の音波の伝播で誤っている選択肢を探す問題。 1. 逆位相の音波が干渉すると消滅することがある。 山と谷がぶつかると干渉して見かけ上波が消える。 この原理はノイズキャンセリングイヤホンなどに利用されている。 2. 共鳴すると振幅…

音響学の基礎144 過去問㉝

過去問㉝ 今回は中性母音の声道内定在波の記述のうち誤っているものを選ぶ問題。 定在波は定常波のことであり、 F1は第1フォルマント(基本振動の周波数)、 F2は第2フォルマント(3倍振動の周波数)、を表す。 振動(粒子速度)の節=音圧の腹、 振動(…

音響学の基礎143 過去問㉜

過去問㉜ 今回は閉管の音響管の共鳴周波数に近い選択肢を選ぶ問題。 復習範囲は投稿50。 閉管の共鳴の公式は、 fn=nc/4L fn:n倍振動の周波数[Hz] n:自然数(1,2,3,・・・) c:音速[m/s] L:閉管の長さ[m] 上式には閉管の内径が必要ないので内径の3cmは使わな…

音響学の基礎142 過去問㉛

過去問㉛ 今回は声道の共鳴周波数について正しい記述を選ぶ問題。 復習範囲は投稿53。 第1共鳴周波数は第1フォルマントであり、基本振動の周波数f1になる。 第2共鳴周波数は第2フォルマントであり、3倍振動の周波数f3になる。 声門が閉じ唇が開いている…

音響学の基礎141 過去問㉚

過去問㉚ 今回は声道内を伝播する音波の性質について正しい組み合わせを選ぶ問題。 声道は声門を閉口端(固定端)、唇を開口端(自由端)とした閉管と近似できる。 あとは、数値としてf1=200Hzが与えられている。 a.音速は気温に依存する。15℃のとき約340m/s…

音響学の基礎140 過去問㉙

過去問㉙ 今回は声道の構成要素でないものを探す問題。 肺から出された空気(呼気)は、 気管→喉頭→口腔を通って唇から声として発せられる。 肺からの呼気の通路を気道と呼び、 気道のうち喉頭よりも上側の、咽頭、口腔、鼻腔を合わせて声道と呼ぶ。 メモ: …

音響学の基礎139 過去問㉘

過去問㉘ 今回は音と振幅スペクトルの組み合わせで誤っている選択肢を探す問題。 振幅スペクトルはパワースペクトルと縦軸が異なる。 ここから先は難しくなるので飛ばしても良い。 フーリエ変換では、変換結果は一般的に複素数になる。 縦軸を振幅(の絶対値…

音響学の基礎138 過去問㉗

過去問㉗ 今回は音のスペクトルについて誤っている選択を探す問題。 ヒント: ①雑音(〇〇ノイズなど)は連続スペクトルになり無数の周波数成分を持つ。 ②純音は単一の周波数成分を持つ。 ③白色雑音(ホワイトノイズ)のスペクトルは、 あらゆる周波数成分を…

音響学の基礎137 過去問㉖

過去問㉖ 今回は計算問題。 パワースペクトルが平坦な帯域が制限された雑音はバンドノイズだ。 あるバンドノイズの帯域を半分にすると、 音圧レベルはどう変化するか聞かれている。 音圧レベルの変化を聞かれているが、 問題で音圧は与えられていない。 この…

音響学の基礎136 過去問㉕

過去問㉕ 今回は計算問題。 帯域を10kHzに制限された60dB/Hzの白色雑音の音圧レベルを求めるときは、 イメージとして縦軸が60dB/Hz、 横軸が10kHzのスペクトルを思い浮かべよう。 この部分の面積を求めたいのだが、 単位が違うのでただ単に掛けてはいけない…

音響学の基礎135 過去問㉔

過去問㉔ 今回は純音の持続時間を短くしたときの変化で誤っている選択肢を探す問題。 純音は周期音であり周波数成分を1つしか持たない。 持続時間が短くなると線スペクトルは不明瞭になり連続スペクトルになる。 つまり、トーンバーストに近づく。 聞こえの…

音響学の基礎134 過去問㉓

過去問㉓ 今回は連続スペクトルになるものを選ぶ問題。 言語聴覚士の国家試験がマークシート形式の5択だからこういう出題になる。 復習範囲は投稿68~投稿74。 全ての波形のグラフと音のスペクトルを思い出そう。 ヒント: 純音↔複合音であり、 周期音↔非周…