ケイスケの音響学

言語聴覚士に必要な音響学の解説をします。

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

音響学の基礎55 うなりの式

うなり 公式 閉管の共鳴問題は前回までで終わり。今回から別の範囲に移る。 うなり。うなりの回数の求め方を簡単に説明しよう。 fうなり:1秒間のうなりの回数 |f1-f2| これで「絶対値f1マイナスf2」と読む。 え?絶対値がわからない? 数学から離れている人…

音響学の基礎54 閉管の共鳴 応用問題⑥

閉管の共鳴 応用問題⑥ 閉管の共鳴の応用問題はこれで最後だ。頑張ろう。 今回は波長の長さを聞かれている。 閉管のn倍振動の波長の式を覚えていない? でも大丈夫。覚える必要は全くないのだ。 思い出して欲しい。 音速と周波数が与えられて波長を聞かれて…

音響学の基礎53 閉管の共鳴 応用問題⑤

閉管の共鳴 応用問題⑤ 前回は外耳道を閉管に近似した。 今回は声道を閉管に近似する。 もう既に4回応用問題を解いているので閉管の式は見なくても大丈夫だよね。 基本振動の周波数の3倍が3倍振動の周波数、 5倍が5倍振動の周波数だ。 ここまで類題をや…

音響学の基礎52 閉管の共鳴 応用問題④

閉管の共鳴 応用問題④ これもテキストの例題の数値を計算しやすく変更した。 テキストでは2.4 cmとしていたが、 ネットで調べると外耳道の長さは、成人の場合2.5~3.5 cmなので、 その中で最も計算しやすい値の2.5 cmを用いた。 閉管の共鳴の式がわかったら…

音響学の基礎51 閉管の共鳴 応用問題③

閉管の共鳴 応用問題③ 閉管の共鳴の式は覚えただろう。 ここで傾向が違う問題を出す。 基準周波数、つまり基本振動の周波数だけが与えられて、 閉管の長さが与えられていない。 さて、どう解くのか? 閉管の共鳴の式を見てもよくわからないかもしれない。 f1…

音響学の基礎㊿ 閉管の共鳴 応用問題②

閉管の共鳴 応用問題② 閉管のn倍振動の式がわかればこの問題も解けるはず。 ただ、見慣れない単語があるね。最低共鳴周波数? ここで、閉管のn倍振動の式を思い出そう。 fn=nc/4L つまり、nが大きくなるほど周波数が大きくなる。 ということは、nが小さ…

音響学の基礎㊾ 閉管の共鳴 応用問題①

閉管の共鳴 応用問題① これは音響学テキストの問題を計算しやすい値を変えた問題。 テキストでは23 cmになっているが、割り切れないので25 cmにした。 閉管のn倍振動の周波数の式を覚えていれば楽勝だよね。 ひとつだけ注意! 長さの単位は[m]に変換しない…

音響学の基礎㊽ 閉管のn倍振動

閉管のn倍振動 閉管のn倍振動も、弦のn倍振動と同様に表にまとめると推測できる。 λnつまり、n倍振動のときの波長は、 基本振動、3倍振動、5倍振動、・・・、 と増えていったときにどういう変化をするかに注目すれば良い。 fnつまり、n倍振動のときの周…

音響学の基礎㊼ 閉管の5倍振動

閉管の5倍振動 前回の投稿㊻で詳しく説明したように、閉管に偶数倍振動はない。 基本振動の1/4波長が5個あるから5倍振動になる。 厳密には開管と閉管には開口端補正といって、 定常波の腹が気柱より長くなることも考慮するが、 音響学ではそこまで踏み込…

音響学の基礎㊻ 閉管の3倍振動

閉管の3倍振動 前回に引き続き閉管の共鳴を解説する。 ところで、閉管は片方が口でもう片方が底のため、 2倍振動はないのだ。 閉管の共鳴に偶数倍振動はなく奇数倍振動のみだと覚えておこう。 それは口の場合は定常波の腹、 底の場合は定常波の節ができる…

音響学の基礎㊺ 閉管の基本振動

閉管の基本振動 今まで解説してきた弦の共鳴と開管の共鳴は、 閉管の共鳴を説明するための前座である。 音響学では、弦の共鳴→開管の共鳴→閉管の共鳴と順番に説明する。 閉管の共鳴が実用性があるのと、式が難しいからだ。 この後練習問題で出てくるが、 声…

音響学の基礎㊹ 開管のn倍振動

開管のn倍振動 開管のn倍振動は、弦のn倍振動と同様に表にまとめると推測できる。 λnつまり、n倍振動のときの波長は、 基本振動、2倍振動、3倍振動、・・・、 と増えていったときにどういう変化をするかに注目すれば良い。 fnつまり、n倍振動のときの周…

音響学の基礎㊸ 開管の3倍振動

開管の3倍振動 開管の3倍振動も基本振動の波形が3個あるから3倍振動となる。 基本振動が半波長なので、3/2波長が開管中にある。 言い換えれば、波長の長さは弦の長さの2/3ということだ。 だから、 λ3=2L/3 となる。 分数の後ろのLを分子にもってくると規…

音響学の基礎㊷ 開管の2倍振動

開管の2倍振動 開管の2倍振動は基本振動の波形が2個あるから2倍振動だ。 上図で色が濃くなっているところが密、 色が薄くなっているところが疎になる。 でも、これはあまり気にしなくても大丈夫。 腹から腹の半波長が2個ある。 1/2λ×2=λ からもわかる…

音響学の基礎㊶ 開管の基本振動

開管の基本振動 今回から開管の基本振動の説明をしよう。 基本振動は上図のようになる。 口は必ず腹になるからね。 今、弦の長さをL[m]、波長の長さをλ[m]とする。 上図の波は実線と破線で表現されているが、 実線だけに注目すると山から谷までである。 すな…

音響学の基礎㊵ 閉管と開管

閉管と開管 さてさて、前回の閉管の共鳴の実験はやってみただろうか? 閉管の長さや形状によって音色が変わるのでいろんなビンで試して欲しい。 気柱にできる定常波の波形表示は弦のときと同様に考える。 即ち左図のように振動しているということだ。 何回も…

音響学の基礎㊴ 気柱にできる定常波

気柱にできる定常波 今回から開管の共鳴についての解説をする。 いきなり説明しても弦とは性質が違うので軽い話からしていこう。 気柱(開管・閉管)の共鳴は空気の振動による定常波である。 ビンやペットボトルの横から息を吹きかけると「ボー」と音が鳴る…

音響学の基礎㊳ 弦のn倍振動

弦のn倍振動 弦の基本振動、2倍振動、3倍振動について解説してきた。 では、n倍振動のときの波長λnと周波数fnはどうなるか推測しよう。 方法は簡単。 上のような表を作ってまとめるだけ。 じっと見ていると規則性に気付かない? 4倍振動、5倍振動、…と…

音響学の基礎㊲ 弦の3倍振動

弦の3倍振動 3倍振動になると分数が多くなって躓く人が多くなるかもしれない。 弦に葉っぱ3枚、つまり半波長が3個含まれている。 言い換えると、波長は弦の2/3になる。 λ3=2L/3 と分子にLを書いたのも後々わかりやすくするため。 f3にλ3を代入するときは…

音響学の基礎㊱ 弦の2倍振動

弦の2倍振動 弦の2倍振動は基本振動がわかっていると簡単。 なぜなら、波長が弦の長さと等しくなるからだ。 葉っぱ2枚分は1波長だ。 式で表すと、 λ2=L=(2L/2) ここでわざわざ分数で書いたのは後々わかってくる。 難しく言うと一般化したときに規則性を…

音響学の基礎㉟ 弦の基本振動

弦の基本振動 今回から文字だらけだ! でも、焦ることはない。 順を追って説明しよう。 弦の長さをL[m]、波長の長さをλ[m]とする。 波長は葉っぱ1枚分なので、 1波長には葉っぱ2枚分必要。 だから、 λ1=2L と表すことができる。 小さい1は基本振動(1倍振動…

音響学の基礎㉞ 弦の固有振動

弦の固有振動 輪ゴムやギターの弦の場合、2倍振動以降は難しいと思う。 縄跳びの縄を二人で上手く動かすと2倍振動ができるだろう。 弦の振動は必ず両端が節になることに注意しよう。 葉っぱ1枚の半波長を基本振動として、 半波長が何個含まれているかで何…

音響学の基礎㉝ 弦の振動(例題)

例題 今回はこれだけ。 定常波の節と腹の位置を選ぶの問題。 はっきり言って、このレベルは小テストでも出題されない。 でも、振動を考える上では非常に重要なので確実に解こう。 それぞれの点は上下に振動している。 さて、これは縦波?横波? わからなけれ…

音響学の基礎㉜ 弦の振動②

弦の振動② 前回に引き続き弦の振動の理解をしよう。 弦の振動は直線・実線曲線・破線曲線で表されることが多い。 先生によっては全部実線でかくかもしれない。 前回は葉っぱ1枚だったのに対して、 今回は葉っぱ2枚連続のようになる。 このときは下図のよう…