ケイスケの音響学

音響学の解説をします。

音響学の基礎237 中間テスト73

中間テスト73

『声道の伝達特性は、声道の断面形状と声道の長さ、および音速で決まる』

この記述は◯か✕か。

 

ヒント:

声道は閉管の気柱のモデルに近似できる。

閉管の気柱の共鳴の公式を思い出そう。

f_n= \dfrac {nc}{4L}

それぞれの文字が何を意味していたかと言うと、

fn:n倍振動のときの周波数[Hz]

n:何倍振動なのかを表す自然数の奇数(1,3,5,・・・)

c:音速[m/s]

L:閉管の気柱の長さ[m]

である。

 

声道の伝導特性は、以下の3要素で決まる。

①声道の断面形状

 →閉管の気柱のように一様の太さでないため考慮する必要がある。

  声道の太さではないことに注意しよう。

②声道の長さ

 →L(閉管の気柱の長さ)

  同様に声道の伝導特性に影響を与える。

③音速

 →c(閉管を伝わる音速)

  同様に声道の伝導特性に影響を与える。

 

応用:

ヘリウムガスを使うと声が高く聞こえるのはなぜか。

ヘリウムガス中に含まれるヘリウムは空気より軽く動きやすい物質である。

空気中の音速は約340[m/s]なのに対し、

ヘリウムガス中の音速は約860[m/s]で、約2.5倍速くなる。

そのため、ヘリウムガスを吸って肺から空気を出すと、

声道の中を伝わる音速も約2.5倍に速くなる。

 

ここで、閉管の気柱の共鳴の式を思い出そう。

f_n= \dfrac {nc}{4L}

音速cが約2.5倍になるので、周波数も約2.5倍に高くなる。

ただし、これは閉管の気柱の共鳴の話だ。

 

声道では特定の周波数が発生するのではない。

声道の伝達特性によって周波数が共鳴し、

共鳴によって特定の周波数帯が強調される。

 

つまり、ヘリウムガスにより音速が速くなると

音声が強く共鳴する周波数(フォルマント)が高周波数側に移動し、

周波数のスペクトルが全体的に周波数の高い方へ偏る。

よって、もとの音より高い声になって聞こえるのである。

 

よって、正解は◯である。