音響学の基礎350 模擬問題3

『閉管と声道の特徴について正しいものの組み合わせはどれか』
声道は声帯を底にした閉管に近似できる。
閉管と声道の共鳴について語句の整理をしながら、
正しいものの組み合わせを探そう。
ホルマントはフォルマントのことである。
テキストやテストなどに文字表記揺れがあるが意味は同じだ。
a. 成人男性の中性母音の第1ホルマント周波数は、
17cmの閉管の基本振動とほぼ同じである。:◯
→成人の声道の長さは概ね17cmである。
また、中性母音の場合の中心周波数は、
成人男性の場合、第1フォルマントが約500Hzになる。
これは17cmの閉管の基本振動の周波数と一致する。
b. 声道は、閉管と同様に、基本振動と奇数倍音が存在する。:✕
→閉管では共鳴周波数が基本振動のn倍振動と単純な整数比で固定されるが、
声道では管の太さにより中心周波数の付近の周波数でも響く共鳴周波数帯となる。
その中心周波数も声道の変化に応じて変化し、単純な整数比とはならない。
c. 声道のホルマント周波数は固定している。:✕
→ 声道のフォルマント周波数は、
声帯から口または鼻に至る声道の共振周波数である。
声道の形状によって共鳴周波数が変化し、
その違いによって「ア」「イ」などの区別を行う。
フォルマント周波数は、周波数の低いものから順に、
第1フォルマント周波数、第2フォルマント周波数、⋯、と呼ばれる。
母音を区別する上で重要なのは、
第1、第2、第3の三つのフォルマント周波数である。
声道の形状は、粘膜で覆われており、口腔の開閉具合や舌の形によって変化する。
声道の形状の変化に伴って、共鳴管の共振特性が変化し、
周波数スペクトルが変化する。
よって、声道のホルマント周波数は固定していない。
d. ホルマント周波数の絶対的な値によって母音が定まる。:✕
→人間は声道の形を変化させることによって、
異なる種類の母音を発声している。
声道の長さを変化させることはできないので、
舌の位置による声道中の特定の場所の狭窄や、
口の開閉の調節で開口度を変更することにより、
異なる日本語の5母音を発声している。
e. 声道には、閉管の規準振動と同様に振動の節や腹が存在する。:◯
→閉管の基準振動は、基本振動、3倍振動、5倍振動と奇数倍振動がある。
声道は声門が底、唇が口の閉管と近似することができる。
つまり、声道の共鳴周波数帯は、
基本振動に相当する第1フォルマント、
3倍振動に相当する第2フォルマント、
5倍振動に相当する第3フォルマントがあるので、
それぞれに対応した振動の節や腹が声道内に存在する。
aとeが正しい。
よって、正解はウである。